2023年12月5日火曜日

映画きらきら星 第3回『ツィゴイネルワイゼン』

こんにちは!

みなみ会館の思い出記事から、随分経ちました…。
久しぶりの投稿は、映画きらきら星でお送りします!
今回は、生誕100年を迎えた映画監督・鈴木清順の代表作をご紹介します。

『ツィゴイネルワイゼン』(1980年 監督:鈴木清順)

ドイツ語学者にして無頼の中砂糺(演:原田芳雄)、士官学校教授・靑地豊二郎(演:藤田敏八)、中砂の妻と後妻(演:大谷直子の二役)、靑地の妻・周子(演:大楠道代)
4人の男女がサラサーテ演奏の『ツィゴイネルワイゼン』のレコードを軸に、現実と幻想、生と死の境目を彷徨う怪奇幻想譚。

 

ここが見所:

『野獣の青春』(1963)『殺しの烙印』(1967)といった奇抜な映画を撮ったために日活を解雇された伝説の映画監督、鈴木清順。国内外の評価を得て世界中で愛されるカルト映画監督となった、そのキッカケとも言える本作。
「浪漫三部作」の後続作品である『陽炎座』(1981)『夢二』(1991)がより手作り感溢れる豪華絢爛な映画になっていくのに対し、本作はまだ抑制的というか派手なワケでもありません。
しかし必要最小限の画面から伝わってくる“音”やレコードを始めとする“円型の主題”など、映画を味わうのに十分な要素が盛りだくさん。一つ一つに目を凝らし、耳をそばだてる事で「おおっ」と感じたり「ゾワっと」したりと、五感に楽しい映画です。
野性味溢れる原田芳雄の色気、昭和初期の女性の雰囲気を見事に体現した大楠道代等、俳優陣の存在感も抜群です。常に戸惑っているような表情の藤田敏八も、ナイスなキャスティングです(本業は映画監督)

映画を使って遊びに遊んだ趣のある本作は、今もなお、妖しくも人の興味を掴んで離さない危険な魅力を振りまいています。

*監督の生誕100年を記念して、現在「浪漫三部作」が4K修復版となって映画館で公開されています。より美しい画面で、映画の醍醐味を味わえる最良の機会です。
僕も先日、本作4K版を観に行ってきました!
何度も観ている映画ですが、より普遍的で面白い映画だと膝を打った次第です……。

 


イラスト:岩佐悠毅

この映画の顔と言えば、やはり原田芳雄でしょう。
当時の無頼派を体現しているような風貌や所作、そしてフラフラと旅をし、骸骨のように儚げにも見える人物。そんな彼を描いてみました。